電子フロンティア財団(EFF)は2026年9月8日、メディケアのAIによる事前承認審査プログラム「WISeR」に関する約1,000ページの記録を公開しました。CMS(メディケア・メディケイド・サービスセンター)から入手したこれらの文書は、AIによる審査が医療の遅延や拒否、患者への実害を招いている実態を明らかにしています。
医療へのアクセスを阻むAI審査の実態
公開された記録によると、WISeRモデルによって医療サービスの事前承認が大幅に遅延しています。CMSはベンダーに対し72時間以内の回答を求めていますが、実際には回答に83日を要した事例も報告されています。医療従事者からは、必要な処置が承認待ちで遅れ、患者が激しい痛みに苦しんでいるとの声が上がっています。
拒否を促す報酬体系と高い拒否率
文書は、WISeRの報酬体系が医療の拒否を促す仕組みになっていることも示しています。ベンダーは、申請を拒否したことによって生じた支出の削減額に応じて報酬を受け取る仕組みとなっており、これが不当な拒否のリスクを高めています。実際、あるベンダーはプログラム開始から3か月間で5,944件の申請を拒否しており、申請の承認数よりも拒否数が上回ったケースも確認されました。
不十分なテストと拙速な導入
プログラムの導入プロセスにも問題がありました。2026年1月に開始されたWISeRは、発表からわずか6か月で稼働していますが、一部のベンダーからは機能が不完全でテストも不足しているとの警告が事前に寄せられていました。導入から数か月が経過した後も、一部の機能が未完成のまま運用されている状況が報告されています。
今後の拡大への懸念
WISeRの対象となる医療サービスは、今後さらに拡大される可能性があります。計画文書には、航空救急搬送やがん治療、MRI検査といった、より緊急性を要するサービスを将来的に追加する検討事項が記載されています。
