独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は2026年8月31日に、オフラインの閉域環境におけるAI基盤の信頼性を検証したプロジェクトの成果を公開しました。クラウド型AIサービスにおける情報漏えいや検証不可能な構造的リスクに対し、自組織での統制手段を提示することを目指しています。
閉域環境でのAI基盤検証プロジェクト
本プロジェクトは、クラウドAIサービスのモデル構造や運用体制が利用者には開示されないという、検証できない領域への依存に伴うリスクを検証するために実施されました。従来のクラウド型サービスを外部から評価する手法とは異なり、オンプレミス環境上にAI基盤を構築して、モデルや推論エンジン、認証、暗号通信、ソフトウェアサプライチェーン、監査ログなどの構成要素を横断的に検証しています。
実証基盤の構築と検証内容
検証にあたっては、GPUを搭載していない10年前のリユースサーバー(Intel Xeonサーバー)とオープンソースソフトウェア(OSS)のみを用いて、独自のフレームワーク「ICS-XAF」に基づくAI実証基盤を構築しました。この基盤に対し、21件のテストシナリオを用いて、技術的な有効性と限界の両方を検証しています。
リスク管理フレームワークの活用
分析の枠組みとして、AI RMF、Futures Toolkit、ISO/IEC 42001という3つの国際的なリスク管理フレームワークを採用しました。これにより、AI活用に伴うリスクや組織的な課題を整理し、「コントロール可能性」と「コンテキスト耐性」という2つの評価軸から、信頼できるAI基盤が満たすべき要件を定義しています。
組織のAIガバナンス構築に向けた知見の提供
実証実験では、AIDE、SBOM、Lynis、AI-IDEを用いた多層的な監査を実施し、クラウドAIとの情報セキュリティ(CIA)の比較評価を行っています。本プロジェクトの成果は、自組織主導のAIガバナンスを構築・運用しようとする技術者や経営層にとって、一助となることを目的としています。
