NVIDIAは2026年9月15日、AI工場の電力消費を最適化するプラットフォーム「NVIDIA DSX」に関する最新の成果を公表しました。同社は、電力予算を維持したまま計算能力を向上させる技術や、電力網の需要に応じて負荷を調整する仕組みの有効性を示しています。
電力予算内で計算能力を最大化
クラウドプロバイダーのLambda社による検証結果によると、NVIDIA DSX MaxLPSを使用することで、固定の電力予算内で24%多いトークンスループットを実現できることが示されました。これは、GPUサーバーの電力消費をワークロードの種類に応じて動的に再配分することで、従来は余剰となっていた容量を活用できるためです。Lambda社の検証環境では、19ノードのクラスターにおいて、従来の16ノードと同等の電力予算で、1秒あたりのトークン生成数を約400万から500万へと向上させました。
NVIDIAの予測では、次世代のVera Rubin NVL72 AI工場において、適切な導入環境であれば、同一の電力予算内でGPU容量を最大40%増やせるとされています。
電力網との連携による自動調整
電力網の状況に合わせてAI工場の負荷を調整する技術も、実用段階にあります。Emerald AI社のConductorプラットフォームを用いた事例では、電力会社からの信号を受けて、AI工場の計算ワークロードを1分以内に自動調整することが確認されました。この仕組みにより、優先度の低いジョブの実行を遅らせる一方で、高優先度の推論サービスは継続させることが可能です。
この実証実験では、電力需要の抑制が必要な際に、重要度の高い処理を維持したまま、電力を4メガワットから3メガワットへと削減することに成功しました。NVIDIAは、この仕組みを汎用化した「DSX Flex」の最初の商用導入先として、バージニア州マナサスの施設を予定しています。
工場全体の最適化を目指すアプローチ
NVIDIAは、AI工場の効率を最大化するために、個別のコンポーネントだけでなく工場全体の設計を最適化するアプローチをとっています。DSXスイートは、ネットワーク、冷却、水効率、施設設計にわたる包括的なプラットフォームを提供します。また、電力供給の効率を高めるために、800V DC(直流)アーキテクチャをリファレンスデザインに組み込んでいます。
