Googleは7月25日、強化学習と量子誤り訂正を組み合わせた手法により、計算中に量子コンピュータがドリフトに適応し安定した動作を維持することを示した。Nature誌に論文を発表している。
発表の内容
Google Quantum AIは、強化学習(RL)を用いた量子制御手法を開発し、その有効性を実証したと発表した。量子コンピュータの物理的なノイズを検出する誤り訂正データを活用し、エージェントが制御パラメータを動的に調整する仕組みだ。これにより、計算中にドリフトが発生してもシステムが自ら適応し、動作を維持できるようになる。
この手法はGoogleの主要な超伝導量子プロセッサ「Willow」で検証された。人工的にドリフトを注入した環境において、強化学習による制御の有無で比較を行った結果、誤り訂正符号の論理安定性が3.5倍向上し、信頼できる量子メモリとして機能する時間が延びたことを確認している。
これまでとの違い
従来の量子校正は物理モデルに基づいて行われ、計算を一旦停止してパラメータを手動で調整する必要があった。今回の手法は、誤り訂正データそのものを強化学習の学習信号として活用し、計算プロセスと校正プロセスを分離しない点に特徴がある。これにより、長期的な計算における安定性の向上が可能となった。
実務への影響
この技術により、量子コンピュータが長時間の計算において自らノイズに適応する能力が示された。実験では論理誤り率が記録的な低水準にまで減少しており、将来の大規模量子コンピュータの実現に向けた重要な一歩となる可能性がある。
残る論点
本手法が大規模な量子コンピュータでどのようにスケールするかについては、数百〜数千の制御パラメータを用いた数値シミュレーションで確認された。しかし、エージェントとプロセッサ間の通信サイクルを高速化し、より高度な機械学習方法を適用する必要があると指摘されている。
